年金調査では指摘をまぬがれた社保の加入漏れ。翌年は会計検査院の調査!
1. 厚生年金の保険料逃れ実名公表!4年に1度の調査を実施へ
全ての法人事業所と農林水産業やサービス業の一部を除く5人以上の個人事業所は、厚生年金と健康保険に加入する必要がある。
法人事業所には、医療法人・社会福祉法人・監査法人・弁護士法人・特許業務法人・税理士法人・社会保険労務士法人も含まれ、従業員数が一人もいなくても、役員に報酬が支払われる限りは、加入しなければならない。
しかし、加入手続きを行わず、保険料の納付を免れている事業所(未適用事業所)は、2010年度末で10万7,935事業所もある。
日本年金機構は、こうした未適用事業所に対して、民間委託による加入勧奨、一定規模以上の事業所には年金事務所職員による加入指導、それでも加入しない事業所には立入検査を行い、職員の認定による加入手続きを実施してきた。
厚生労働省は今回、未適用事業所対策を強化し、その数を3年以内に半減させる目標を定め、悪質な事業所の場合は実名の公表、告発も検討しているとした。
同時に、厚生年金に加入する約175万の対象事業所に対しては、4年に1回程度の調査を実施することとし、保険料の支払いや届出が適正かどうか、今まで以上に厳しいチェックを開始している。
この調査を効率的に実施するために、毎年7月の算定基礎届の提出時に年金事務所に呼び出し、賃金台帳や源泉税納付書等と照合しながら算定基礎届を確認している。
2. 調査の具体的な内容
調査では、主に以下の事項が調べられる。
(1)パートの加入漏れはないか 特に指摘を受けやすいのがパートの加入漏れである。次の①及び②のいずれにも該当する場合は、 原則加入させなければならない。 ①労働時間:1日又は1週間の所定労働時間が正社員のおおむね4分の3以上 ②労働日数:1カ月の所定労働日数が正社員のおおむね4分の3以上
(2)60歳以上で未加入の従業員はいないか 年金受給者の場合、特別支給の老齢厚生年金を満額受給するため(本人の意向)、させるために(会社の対応)、 加入手続きをとっていないケースが散見されるが、(1)と同じ指摘を受けることになる。
(3)入社時から加入しているかどうか 試用期間は加入させなくてもよいと考えている事業主がいるが、試用期間から加入しなければならない。 さかのぼって取得年月日の訂正を求められる。
(4)賞与の届出は適正にされているか
(5)月額変更(随時改定)の処理が適正かどうか ※1
(6)資格取得時の標準報酬は正しいかどうか 調査は最大2年間遡って実施され、保険料の追加徴収を求められるだけでなく、加入
漏れ期間(※2の医療費)についても、従業員ベースで精算のやり直しが求められ、特別支給の老齢厚生年金の受給者の場合、過去2年間に受給した 年金が不正受給となるので返還させられることにもなる。
保険料の追加徴収だけでなく、給付の調整も生じるので、事業所と従業員の双方にとって、マイナスの影響は極めて大きい。
※1:昇給等で、固定的賃金が変動した場合、「月額変更届」を提出する。固定的賃金には、通勤費も含まれる。
※2:本来社会保険に加入すべき期間なのに、実態は国民健康保険に加入していた期間
3. 会計検査院が目をつける企業と観点
調査に当たっては、短時間労働者(パートタイマー)を多数使用している事業主を中心として、特別支給の老齢厚生年金を全額支給されている受給権者を使用している事業主を重点的に調べている。
平成20年度の調査では、農業サービスの会社(従業員14人)が、計3,364,402円を追徴されている。
特別支給の老齢厚生年金の受給権者であった2人の従業員を常用的に使用していたにもかかわらず、社保に加入させていなかったケースである。従業員が少ないからといって安心はできない。
POINT
厚生労働省は社会保険未加入事業所の公表・告発、適用事業所に対しては4年に1回程度の調査を実施、社会保険の加入の適正化を強化している。
パートや60歳以上の従業員が多い事業所は調査対象となりやすく、被保険者資格取得届がきちんと提出されているかどうかがチェックされる。
社会保険の資格取得がなされていないことを指摘されたときのデメリットは、保険料の追加徴収だけでなく、受給した年金額の返還にまで及ぶことがある。
4. まとめ
前々から準備して調査が入らないのが一番ですが、調査が入るとなってしまったらもうなすすべはありません。
賃金台帳、源泉税納付書、出勤簿が怪しいと目をつけられてしまう原因になってしまいます。
うちはパート・アルバイトだけだから大丈夫と考えず、働く時間が短時間の方であっても給与計算を正しく行いましょう。
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